【心理学】こころの理論ーヘルピング課題ー

こころの理論をご存知でしょうか。
発達障害がメディアでとりあげられ、その中で出てくることの多い「こころの理論」。
今日はこれについて理解してみませんか。

誤信念課題

よく誤信念課題は自分が知っていることと他者がしっていることを区別できるかを測る課題と説明されることがありますが、
これは誤信念課題の本質ではありません。

「そうだと信じていることをもとに他者は行動をする、たとえそれが事実とは異なっていても」を理解しているかを確かめている課題です。


従来の通説では、この課題が理解できるようになるのは4才程度からと言われていました。
しかし、みなさんやってみて答えるの結構難しく感じませんでしたかー。
そうなんです。答えはわかっているんだけど、答えるときに頭が一瞬混乱するんですよね。
サリー・アン課題は誤信念を分かっていることに加え、正しい回答をする能力も求められるので、
実際に誤信念を理解しているのはもっと低年齢からではないかとも言われています。
回答時の認知負荷を下げるパラダイムが考案されています。
複数回に分けて紹介していきますね。

ヘルピング課題

参加児の前でサリー・アンをなぞらえた物体の移動課題が2人の成人によって演じられます。
参加児の前に箱が2つあり、成人Aが右側の箱にオモチャをいれます。
誤信念条件では成人Aは退室しその間に成人Bがおもちゃを左側の箱に移動させます。
正信念条件では成人Aが室内にいる状態で成人Bがおもちゃを左側の箱に移動させます。
誤信念条件では成人Aが部屋に戻り、おもちゃが入っていない箱を開けようとします。

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すると、18ヶ月の参加児は誤信念条件では「おもちゃが入っている箱」を代わりに開けようとし、
正信念条件ではおもちゃがはいっていない箱を開けるのを手伝おうとしました。
16ヶ月の児童も部分的には同様の傾向を示しましたが、はっきりと結論付けられるほど強力な傾向ではありませんでした。

誤信念条件では「おもちゃがあると思って、こっちの箱をあけようとしている。」と目的を抽出し、おもちゃを変わりに渡します。
正信念条件では「おもちゃがないと分かっているのに、こっちの箱をあけたい」という行為に目的を帰属し、箱を開けるのを手伝います。

大型類人(チンパンジーボノボ、オランウータン、3種)を対象に同様の手続きを用いて調査を行いました。すると、この3種も同様の傾向を示しました(Buttelmann et al., 2009)。大型類人も誤信念を理解しているのかもしれません。

みなさまはこの結果の解釈をどう思われましたか?🤔
ぜひ次回もお楽しみに😋👀

Buttelmann, D., Carpenter, M., & Tomasello, M. (2009). Eighteen-month-old infants show false belief understanding in an active helping paradigm. Cognition, 112, 337-342.